情報公開活動における基本方針


2022年12月9日
文責:関 優花 

2022年12月2日に黒瀬陽平氏のツイッターにて公開されたリリース文には、11月18日に判明したプライバシー情報の流出(参考:「プライバシー情報の流出に関するお詫びとお願い」)に限らず、本団体の情報公開活動そのものが、黒瀬氏へ対する名誉の毀損でありプライバシーの侵害であるという趣旨の記載がありました。この意見を受けて本団体の情報公開活動の内容や目的などを改めて確認し説明するため、下記のとおり「情報公開活動における基本方針」を作成いたしました。


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情報公開活動における基本方針

  1. 情報公開活動の内容


    本団体のウェブサイト上では、安西彩乃さんのハラスメント被害の告発を発端として提訴された名誉棄損訴訟(原告:合同会社カオスラ、被告:安西彩乃、株式会社note)、それに反訴する形で提訴された労働訴訟(原告:安西彩乃、被告:黒瀬陽平、合同会社カオスラ、社員F、スタッフK)の二つの民事訴訟に関連する以下の3点の情報を掲載しています。

    ・一連の問題の経緯
    ・訴訟書面(訴状、答弁書、準備書面、尋問調書、判決書等)
    ・団体外部の人物による尋問傍聴レポート

    本団体のウェブサイト上で公開している一連の問題の経緯は、安西さんからの聞き取りをもとに本団体が作成したものです。団体外部の人物による記事の著作権は執筆者にありますが、記事を公開したことによって起きた事案に対しての責任は本団体が負っています。

  2. 情報公開活動の目的


    本団体の情報公開活動は、安西さんのハラスメント被害の事例を通じて、一般に対しハラスメントに関する問題認識・知識を広く共有すること、類似の問題の渦中にある人々が被害対応にむけて参照可能な情報を提供することを目的としています。

    また本団体の情報公開活動には、一連の問題の風化を抑止する目的があります。一度訴訟が開始されると当事者や関係者は係争中の案件について発言を控えることが多く、判決がでるまでの約2年ほどのあいだ、第三者は新しい情報を得ることが困難になります。そのため、本団体では係争中の案件についても、第三者が一連の問題について理解を深めるために必要と思われる情報の発信を継続的に行っています。

    本団体の情報公開活動は以上を目的として行われており、訴訟当事者を糾弾するために行われているものではありません。

  3. 訴訟書面の公開について

    本団体の訴訟に関する情報発信は、安西さんと訴訟相手側の双方の訴訟書面の公開を通して行っています。訴訟書面(訴状、答弁書、準備書面、尋問調書、判決書等)には、事実関係を説明するために必要なプライバシー情報(私生活上の事柄など)が含まれますが、それらの情報も第三者が一連の問題の内容について理解し判断するために必要な要素であると考え、公開しています。ある事例が抱える固有の問題を一般化せずに共有するために、具体的なディティールを省かずに伝えることが本団体の方針です。

    訴訟書面の公開にあたり以下の項目を遵守します。

    ・訴訟書面中の住所情報など経緯説明に必要のないプライバシー情報はマスキング処理を行う。
    ・書面中の個人名は経緯説明に必要な当事者に限り公開し、それ以外はイニシャルでの表記または非公開とする。
    ・書面公開時に複数人体制でマスキング処理に問題がないかチェックを行う。
    ・安西さん側、訴訟相手側のどちらの書面においても、経緯説明に必要のないプライバシー情報を除き、本団体が書面の内容を恣意的に判断して書面の一部にマスキング処理を行い、情報を隠すことはしない。
    ・書面中に登場する訴外の人物から申し立てがあった場合、理由を確認したのちに該当部分にマスキング処理を行い、非公開とすることがある。
    ・公開後に書面のマスキング処理に変更を加えた場合は、ウェブサイト上に変更日と変更内容を明記する。

  4. 情報公開を取りやめる可能性について

    現時点で黒瀬氏及び合同会社カオスラ側より要請があったとしても、本団体は情報公開活動そのものを停止することやウェブサイト上に存在する情報群を削除することはいたしません。その理由は、黒瀬氏及び現代美術家としてのカオス*ラウンジは日本の現代美術業界において少なからず影響力を持つ存在であり、安西さんが公表したハラスメントの問題について双方の主張を訴訟書面を通じて公開することに公的な意義が認められると考えるからです。また本団体の情報公開活動が停止することにより、一連の問題がブラックボックス化することによって、第三者が複数の情報をもとに判断を行う機会が失われることを危惧しているためです。

    今後、時間の経過や社会的状況の変化など複数の観点から情報公開の必要性を判断し、本団体が情報公開を段階的に取りやめる可能性はあります。しかしながら、2つの民事訴訟が進行中であり、黒瀬氏及び合同会社カオスラ側から安西さんへの謝罪が全く望めない現在の状況においては本団体が情報公開の範囲を自主的に制限することはありません。


    以上




2023-02-11 20:00 文章表現を一部変更しました。








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